用語: Agent2Agent(A2A)
TERM_ID: G214
AI用語の分類: AIエージェント・開発・運用
Agent2Agent(A2A)は、異なるベンダーやフレームワークで作られた独立AIエージェントが、能力を発見し、タスクを委譲し、状態や成果物を交換するためのオープンな相互運用プロトコルです。[1][2][3]
目次
Agent2Agent(A2A)とは
A2Aはマルチエージェント、企業システム連携、エージェント相互運用性の文脈で登場します。Googleが2025年に提案し、その後Linux Foundationのプロジェクトとなり、2026年3月にv1.0がproduction-readyな安定版として公開されました。2026年8月にはAgentic AI FoundationのGrowth Stage projectとして受け入れられています。現在の公式文書は、独立したopaqueなエージェントシステム同士が内部メモリやツール実装を公開せずに協調するための共通言語としてA2Aを位置付けています。
この用語を読むときは、名称だけで製品機能や安全性まで推測しないことが大切です。エージェント分野の語は急速に変化しており、同じ言葉が設計パターン、製品機能、プロトコル上の正式オブジェクトを指すことがあります。そのため、元の文脈で誰が何を実行し、どの境界までをその用語が説明しているのかを確認します。
何と区別すればよいか
A2AはMCPの代替ではありません。MCPがエージェントとツール・データを接続することに重点を置くのに対し、A2Aはエージェント同士の発見、委譲、メッセージ、タスク状態、成果物の交換を扱います。また、A2Aはエージェント内部の推論方式やプロンプト形式を標準化しません。相手をブラックボックスとして扱いながら、外部に公開した能力と通信契約だけを共有する考え方です。
隣接語との境界を読むときは、「モデルが考える部分」「コードやワークフローが決める部分」「外部サービスとの通信契約」「人間が最終判断する部分」を分けると整理しやすくなります。同じシステムの中で複数の概念が同時に使われるため、一つのラベルだけでアーキテクチャ全体を説明しようとしないことが重要です。
仕組み
A2Aの中核にはAgent Card、Message、Task、Artifactがあります。Agent Cardはエージェントの識別情報、接続先、能力、skills、認証要件などを公開するメタデータです。Messageは通信の一回分、Taskは状態を持つ作業単位で、長時間処理や複数ターンを追跡できます。Artifactはレポートや構造化データなど具体的成果物です。ストリーミングや非同期更新にも対応し、v1.0では複数のプロトコルバインディングとバージョン交渉を含む安定化が進みました。
実装図では、入力から最終出力まで一直線に追うだけでなく、状態を保持する箇所、外部へ出る箇所、権限が変わる箇所、再試行や停止が起きる箇所を見ると、用語の役割が分かりやすくなります。エージェント系システムでは「次に何をするかを誰が決めるのか」が設計上の重要な分岐です。
具体例
購買エージェントが「この部品を来週までに調達して」と依頼された場合、自社エージェントが外部サプライヤーのA2A Agent Cardを参照して能力を確認し、見積依頼をTaskとして送る構成が考えられます。外部エージェントは進捗状態を返し、最終的に見積書をArtifactとして返せます。この間、外部エージェントの内部プロンプトやデータベース構造を共有する必要はありません。ただし、契約や発注の最終実行には別途認証・承認が必要です。
この例から分かるように、用語が示すのはシステム全体の賢さではなく、特定の接続、制御、実行、引き継ぎ、隔離などの仕組みです。実際の品質は、モデル性能だけでなく、入力データ、ツール設計、権限、エラー処理、評価、監視、人間の運用に左右されます。
利点と限界
相互運用プロトコルは、相手エージェントの品質や善意を保証しません。Agent Cardに書かれたskillの説明が正しいか、返されたArtifactが信頼できるかは別途評価が必要です。認証情報の扱い、Agent Cardの署名、アクセス制御、マルチテナンシー、タスクの再送・失敗処理も実運用の論点です。また、古いv0.xの解説ではAgent Cardのパスやデータ構造が現在v1.0と異なる場合があるため、仕様バージョンを必ず確認します。
特に本番運用では「できること」と「許可されていること」を分ける必要があります。エージェントが技術的に実行可能でも、業務ルール上は承認が必要な場合があります。また、通信や実行を標準化しても、内容の正確性、相手の信頼性、最終結果の適法性まで自動的に保証されるわけではありません。
元のニュース・製品説明へ戻ったときの読み方
記事や製品資料でA2A対応とあれば、①v1.0対応か、②Agent Cardをどこで発見するか、③対応する通信バインディング、④Taskの状態管理、⑤ストリーミングやpush更新、⑥認証・署名、⑦どのAgentSkillを公開するかを確認します。さらに、その製品が「A2Aを使えるクライアント」なのか「A2Aサーバーとして他エージェントから呼ばれる」のかも区別すると誤読が減ります。
確認項目を短くまとめると、対象、決定主体、権限、状態、失敗時の扱い、証拠やログ、仕様バージョンの7点です。製品比較では「対応している/していない」だけでなく、その機能がどの範囲で有効か、デフォルト設定は何か、管理者が制御できるかを確認してください。
次に起こりやすい誤解
次の誤解は「A2Aで複数エージェントをつなげれば自動的に一つの賢いシステムになる」です。A2Aは通信を標準化しますが、役割分担、競合解消、権限、安全性、品質評価などのオーケストレーション設計は残ります。
用語を理解した後に重要なのは、その用語から過剰な推論をしないことです。エージェント技術では、相互運用性があることと安全であること、隔離されていることと無害であること、人間承認があることと責任が明確であること、AI-nativeであることと完全自律であることは、それぞれ別の評価軸です。
実務チェックリスト
- この用語は、システムのどの層を説明していますか。
- 次の手順や接続先を、モデル・コード・人間の誰が決めますか。
- 外部データ、ツール、他エージェントへ渡る情報は何ですか。
- 読み取り、書き込み、送信、削除、決済などの権限はどこまでありますか。
- 失敗、タイムアウト、拒否、再試行、途中中断はどう扱われますか。
- ログ、引用、トレース、成果物など、後から確認できる証拠は残りますか。
- プロトコルや製品仕様に版がある場合、資料の日付と現在版は一致していますか。
関連AI用語
- Multi-Agent System(G194)
- Model Context Protocol(MCP)(G213)
- Agent Handoff(G215)
注・出典
- A2A Protocol official documentation v1.0 — https://a2a-protocol.org/latest/ ↩
- A2A Protocol v1.0 release — https://a2a-protocol.org/dev/blog/2026/03/12/a2a-protocol-ships-v10-production-ready-standard-for-agent-to-agent-communication/ ↩
- Linux Foundation, A2A project launch — https://www.linuxfoundation.org/press/linux-foundation-launches-the-agent2agent-protocol-project-to-enable-secure-intelligent-communication-between-ai-agents ↩
AI協働制作について
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