用語:共創(Co-creation)
AI用語の分類:AIと人間・社会・共創
ひとことで:共創(Co-creation)とは、企業・利用者・市民・専門家など複数の主体が、知識や経験、資源を持ち寄り、課題や解決策、サービスなどの成果を共同で形づくるプロセスです。
共創(Co-creation)は、複数の人や組織が知識、経験、資源を持ち寄り、課題や解決策、サービスなどを共同で形づくることです。企業と顧客、行政と市民、研究者と当事者、異なる専門家同士など、さまざまな組み合わせがあります。
「みんなで一緒にやる」という日常語にも見えますが、研究や政策での共創は、単なる意見聴取より強い関与を意味することが多い概念です。サービス研究の整理では、co-creationには参加、関与、エンゲージメントが前提となり、アイデア、設計、テスト、生産、利用など複数の段階で起こり得るとされています。[1]
アンケートを取るだけなら共創とは限らない
企業が完成間近の製品を見せ、「好きですか」と聞くのはユーザー調査です。それ自体は有用ですが、参加者が問題設定や選択肢の形成に影響できなければ、共創と呼ぶには弱い場合があります。
共創では、参加者の知識や経験が結果を変える余地があります。たとえば行政サービスなら、市民が困りごとの定義から入り、職員やデザイナーと案を作り、試作品をテストし、改善を繰り返す、といった形です。
OECDのInnovation Playbookも、複数国の行政実務者との共同作業とテストを通して内容を作り、利用者の文脈に合わせて反復的に改善しています。共創は完成品への感想収集ではなく、形成過程そのものへの参加として使われています。[2]
どの段階で共創するか
共創は企画の最初から最後まで常に全員が参加しなければならないわけではありません。アイデアを一緒に出すco-ideation、設計を行うco-design、試作を評価するco-test、提供や運用を共同で担うco-productionなど、関与する段階は目的によって変わります。
重要なのは、「どこを共同で作ったのか」を明示することです。記事で共創とだけ書かれていたら、参加者が何を決められたのかを確認してください。
共創は全員一致を意味しない
異なる立場の人が集まれば、利害や価値観は衝突します。共創だから全員が同じ意見になる必要はありません。むしろ、専門家だけでは見えない不便やリスクを早期に表面化できることが価値です。
一方で「参加者がいる」という形式だけ整え、最終決定には影響させない場合、tokenism(形式的参加)になり得ます。誰が最終決定権を持つか、反対意見をどう記録するか、参加者にどんな情報が与えられるかを見る必要があります。
共創すれば必ず良い結果になるわけではない
共創には時間と調整コストがかかります。参加者の選び方が偏れば、一部の声を「利用者全体の声」と誤認する危険もあります。サービス共創の研究でも、共創は有益な結果だけでなく、効率低下や所有権の曖昧化など逆効果を生む場合があると整理されています。
したがって、共創そのものを目的化せず、なぜ共同参加が必要なのか、誰の知識が欠けているのかを考える必要があります。
AI文脈での共創
AIプロジェクトでも、利用者、現場職員、技術者、法務、当事者などが要件や評価基準を共同で作ることがあります。これは「AIと人が一緒に作品を作る」というHuman-AI Co-Creationとは別の意味です。
G379の共創は、人や組織など複数主体が社会・サービス・製品を共同形成する一般概念です。AIが参加者の一つになる場合もありますが、AIとの共同創作だけに限定されません。
元の文脈へ戻ったときのチェックポイント
共創プロジェクトと書かれていたら、誰が参加し、いつ参加し、何を決めたかを確認します。課題設定、アイデア、設計、実装、評価のどこで影響力を持ったか、情報と決定権がどう配分されたかがポイントです。
ここから推論してはいけないのは、「多くの人を集めたから民主的」「利用者に聞いたから共創」「共創だから必ず良い結果」ということです。共創の質は、参加人数より、実質的な関与と意思決定への影響で判断します。
関連するAI用語
- Human-AI Co-Creation
- 参加型AIデザイン
- ユーザー中心設計(UCD)
注・出典
- Järvi, Kähkönen & Torvinen (2018), Co-creating services—conceptual clarification, forms and outcomes ↩
- OECD Observatory of Public Sector Innovation, Innovation Playbook ↩
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